2008年11月18日

伊東甲子太郎粛清、油小路の変


新選組版「今日は何の日」です。


新選組から分離した
伊東甲子太郎ら御陵衛士(高台寺党ともいう)
その御陵衛士に侵入していた斎藤一が
新選組に戻ってきたのは11月10日のこと。


過去記事
⇒ 斎藤一、帰隊の日


「近藤勇の暗殺計画あり」

と、斎藤一から告げられた近藤と土方歳三は、
その先手を打つことを決意し、
伊東甲子太郎をおびき寄せることにしたのです。


「今後の情勢について相談したい」
「かねてより借用の相談のあった、金銭の準備ができた」
などと口実をつくり、巧みに伊東ひとりを
七条醒ヶ井にある近藤の妾宅へ招待しました。


伊東の仲間たちは危険を察知し引き止めますが、
当の伊東は、よもやそんなことはないだろうと
近藤らの誘いに、まんまと乗ってしまいます。


近藤勇の妾宅を訪れた伊東は、
彼らの進められるまま大いに酒を飲み、
熱弁をふるいました。


そろそろ退出…という頃には酩酊の様子。


駕籠を呼ぼうとする近藤らを制し、
伊東は夜道をひとり歩き出します。


木津屋橋通りを歩いていると、
ふいに板塀の隙間から長槍が
伊東めがけて飛び出してきました。
それは、伊東の肩先から首をつらぬきます。


それでも気丈に伊東は振る舞い、
伊東めがけてやってくる新選組隊士のひとりを
抜き打ちざまに斬り伏せました。


しかし次々と襲ってくる刃には、なすすべもなく、
東側にある本光寺門前の碑石に腰を下ろすと
「奸賊ばら!」
と言って絶命します。


※奸賊(かんぞく)ばら…「奸賊」は心のねじけた者。
憎むべき悪者の意(Yahoo!辞書より)
つまり「憎っくき奴らめっ!」
と言って果てたのです。



こうして伊東はあっけなくこの世を去ったのです。
しかし、事件はこれだけでは終わりませんでした。


隊士らは、伊東の遺骸を
七条油小路の辻まで持っていき、
その場に打ち捨て、
御陵衛士の屯所に惨事を知らせます。


あいにく御陵衛士の幾人かは
遠出していましたが、残っていた7人は、
罠だとわかっていても
伊東をこのままにはしておけないと、
油小路に向かいます。


果たして衛士たちの察した通り、
油小路では新選組隊士が
待ち受けていました。


自らの血でカチカチに凍った着物をまとう伊東を
駕籠に乗せて運ぼうとしたとき、
路地から次々と新選組隊士たちが飛び出し、
御陵衛士たちを取り囲みました。


そして死闘が始まります。
これが「油小路の変」です。
1867(慶応3)年11月18日
のことでした。


この時の新選組側の数は、
23人だったともいいますが、
かろうじてその場から脱出できた御陵衛士は
篠原泰之進、鈴木三樹三郎、加納道之助、
富山弥兵衛
の4人。


毛内有之介、服部武雄、藤堂平助
の3人は、
多勢の隊士相手に果敢に剣を奮い、討死します。


その死闘は凄まじかったそうで、
翌朝周囲に住むものが外に出てみると
4つの死骸と人間の指が散乱し、
民家の壁には、鬢(びん)の毛がついたままの
肉片が付着していたといいます。


亡骸はしばらくの間、晒されましたが、
その後新選組の手によって
四条大宮の光縁寺に葬られます。


明治の後、三樹三郎や篠原らにより、
東山泉涌寺の塔頭戒光寺へ改葬され、
今に至ります。


それにしても…


聡明な人物といわれた伊東甲子太郎が
のこのこ罠かもしれない近藤の元を訪問したのが
個人的には、どうも腑に落ちません。


よく「策士、策におぼれる」
伊東について語ることがありますが、
それだけとも思えない気もするのです。


「新選組組長列伝ー伊東甲子太郎」の稿で
維新研究家の藤堂利寿氏が、
加納鷲尾の『履歴書』
を引用し、
考察しています。
(加納鷲尾は生き残った加納道之助のこと)



「(近藤の)招きに応じなければ
卑怯者になってしまう。 且つ、
世間では我々のことを新選組と同視していて、
誠に遺憾だ。もし私(伊東)が
新選組によって死んだら、誤解も解け、
御陵衛士は勤王の士として
受け入れられるだろう」

 (加納鷲尾の『履歴書』、わかりやすいように、一部私の解釈も入っています^^)


もちろん近藤たちのことを
軽視していた部分もありますが、
近藤を暗殺しても自分が殺されても、
どちらによっても
御陵衛士の評価が変わると考えたとするなら、
その方が伊東らしいと思えてくるのです。
(伊東のことを過大評価しすぎかしら?^^;)



実際、伊東の死後
御陵衛士たちは新政府軍に受け入れられ、
活動していくのですからね。

※後半部、藤堂利寿氏の考察をお借りしました。
 著者様には、この場を借りて御礼申し上げます。


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posted by ルンちゃん at 12:06| Comment(7) | ・新選組「今日は何の日」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
TITLE: 伊東さんは……
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お久し振りです´`
はるわです!この度「るな」と改名致しました…宜しくお願いします。

私も、いろいろな本とか史料とかマンガ(←)とか読んでもどうも伊東さんが引っ掛かります。
正直、伊東さんだったら近藤さんに気付かれない様に護衛をつける事もあった…と思いませんか?
それとも本当に罠だと気が付いてなかったのか…(._.)

歴史は奥が深いです。

長文失礼しました。
Posted by るな at 2008年11月19日 22:36
TITLE:
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度々すみません(+_+)
少々ブログで文章をお借りいたしました…
宜しいでしょうか、すみません。
Posted by るな at 2008年11月19日 23:16
TITLE: 面白いですねぇ
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この人に限ってなんでこんなことしちゃったんでしょうかねぇ。
加納さんの証言はまるで山南さんみたいですね。

この油小路、グーグルビューで見ることができるんですよねぇ。
時代もほんと変わりましたねww
歴史の楽しみ方もだんだん変わってくるんでしょうね。
Posted by 味のり at 2008年11月20日 08:28
TITLE: ありがとうございます
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るなさん こんばんは^^
お名前の件、了解しました。

当ブログをご紹介頂きましてありがとうございました。
これからも、楽しい記事を書いていきますので、
よろしくお願いします♪

伊東さんはホントに引っ掛かりますね。
「事実は小説より奇なり」と言いますが、
本当に物語より不思議です。
Posted by ルンちゃん at 2008年11月20日 21:37
TITLE: 楽しみ方
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味のりさん こんばんは

グーグルビューは何でも見られるのですね。
歴史の楽しみ方、どんな風になるのでしょうねぇ^^;
Posted by ルンちゃん at 2008年11月20日 21:40
TITLE: 閉まってましたが・・・
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ルンちゃんさん・・・さすがにくわしいですね〜
いや、感服です。

先日、本光寺に行った日は、ちょうど11月18日だったので、門の前で手を合わせてきました・・・閉まってましたが・・・
それにしても、ホント、どういう状況でこんな結果になったのか?事情を聞きたいですね。
Posted by indoor-mama at 2008年11月20日 23:16
TITLE: 本光寺
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indoor-mamaさん こんばんは^^

前回(といっても4年くらい前ですが^^;)昼間に訪問しましたが、
インターフォンを鳴らしてもどなたも出ていらっしゃいませんでした。

「ご用の方は…」と書いてありますので、
お留守だったのかもしれません。
また、機会をみつけて訪問してみたいです^^
Posted by ルンちゃん at 2008年11月22日 20:42
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