2014年08月31日

「雪の如き」を食す


『新板大江戸名物双六』の
15コマ目に登場するのは、
「根岸 笹の雪」です。


そのコマには、箱のようなものが描かれています。
最近では見かけなくなりましたけど、
お父さんが仕事帰りに飲み屋に一杯立ち寄ったとき、
お土産に持って帰る折詰に似ています。


中身は何か? といえば、お豆腐なんですね。
今も台東区根岸にある豆腐料理のお店です。
お店の名前は「笹乃雪」
創業は元禄4(1691)年だそうですよ。


なんでも、初代の玉屋忠兵衛という方が
上野の宮様のお供で、京から江戸へ移ってきた時、
江戸で絹ごし豆腐を作って、
豆腐茶屋を開いたのが始まりなんだとか。


宮様がそのお豆腐を賞味した時に、
「笹の上に積もりし雪の如き美しさよ」と
賞賛されたことから「笹乃雪」と名付けられ、
それが屋号になったそうです。


そんな根岸のお店を訪ねてみましたよ
「笹乃雪」の最寄り駅は「鶯谷」です。


北口の改札を抜けて道の左側を真っ直ぐ歩き、
横断歩道を渡って道沿いに歩けば、
そこがもうお店です。
駅から歩いて2分と、すごく近い場所ですね。

お目当ての笹乃雪
お目当ての笹乃雪 posted by (C)ルンちゃん

笹乃雪の入口
笹乃雪の入口 posted by (C)ルンちゃん


お店に入ろうとドアに手を掛けたら、
ドアの向こう側にいた店員さんが
開けてくれました。まるで旅館に来たみたいですね。
玄関で靴を預けてお食事処へ向かいます。


店内は個室と、洋風な部屋、そして
滝が見える和風のお部屋などがあります。
私が通されたのは滝が見える和風の
テーブル席のお部屋でした。


最初、お店に入って見た感じは
重厚な雰囲気のように思いました。でも、
しばらく様子を見ているとそうでもなく、
誰でも気軽に食事ができる場所でしたよ。
ぶらりとやってきても、予約なしで入れるのが
いいですね。


メニューは単品もありますが、
私はコース料理の「初音御膳」を
頼んでみることにしました
(とてもお腹がすいていたので…)


献立表では
小付け、生盛膾(なます=白酢あえ)、冷奴
あんかけ豆富、胡麻豆富、絹揚、雲水、
季節の一品、うずみ豆富(とうふ茶漬け)、デザート
とありますよ。


ちなみに「笹乃雪」ではお豆腐は「豆富」と書きます。
料理店だから「腐る」という文字はふさわしくないという
9代目当主の考えからきているそうです。
それ以降、こちらでは「豆富」と書くようになりました。


料理が来るまでの間、辺りを見渡せば、
壁には「有栖川宮熾仁(たるひと)親王」の書や
今話題の「柳原白蓮」の書などが飾られていましたよ。


古くからのお店なので、著名人も数多く訪れています。
ゆかりのある方では、正岡子規が有名です。
子規の家が近かったので、しばしばお店に来ていたそうです。
現存する短歌の中にも「笹乃雪」の名前が
登場することが度々ありました。
他に夏目漱石も手紙の中に「笹乃雪」のことを
書いていますね。


私が今座っている目前で、昔彼らも
豆富を食べていたのかしら。


そんなことを思っているうち、お料理が運ばれてきました。
小付け、生盛膾(なます=白酢あえ)、冷奴と
テーブルに並べられます。おいしそう♪


なますはチョッと変わっていて、
中央に白あえ用の豆富ソースが添えられていて、
周りの具材を自分であえていただきます。
思ったよりも味がしっかりしていて美味しい


冷奴は、何もつけずにいただいてみました。
一見すると木綿とうふのようにも見えますが、
食感はフワフワ、昔ながらの製法で
優しい感じのするお豆富です。


その後に自慢のあんかけ豆富の登場。創業当時は、
このあんかけ豆富一品のみがメニューだったそうです。
同じ絵柄の小鉢がふたつ、つまり1対で運ばれてきます。
その中に同じあんかけ豆富が入っているんですね。


でもルンちゃんが食いしん坊だから
2つ出てきたわけじゃありませんよ。


それは昔、いただいたあんかけ豆富の美味しさに
上野の宮様が「今後は2椀ずつ持ってくるように」
とお話になられた逸話から、以来
2鉢1対でお客様に出すことにしたそうなんです。

江戸のころから
江戸のころから posted by (C)ルンちゃん
江戸の人も食べていたんですね〜
奥のはゴマ豆富



江戸の人たちには「あんかけ豆富」というのが
めずらしかったようで、その美味しさに、
何杯もおかわりしたそうですよ。


豆富がすっかり隠れるほどのあんかけに
ほんのりショウガの風味が感じられます。
あんも比較的サラリとしているので、
しつこくなくてのど越しがいいです。
これなら簡単に2個は食べられますね。


その後も次々と豆富料理が登場しました。
品数があるのでかなり満腹になりましたね。
ご馳走さまでした
いろいろな豆富料理が出るので、お豆富好きなら
満足できるメニューじゃないかなって思います。


ちなみに、お豆富を食べたいだけなら、
日本橋三越のデパ地下でも
「笹乃雪」のお豆富が販売されています。
日本橋界隈を散策したとき
立ち寄ってもいいですね。


また今は、通販でも手に入れることができるんですね。
しかも通販ですと、江戸時代からの包み方で届くらしい。
気になったのでホームページを見てみたら、
なるほど『新板大江戸名物双六』図柄の折詰に
似ていましたよ


鶯谷駅の南側には、寛永寺や、
徳川慶喜候の眠る谷中墓地があるので、
史跡めぐりの後には、お店に立ち寄るのが
いいかもしれません。
私も機会があったら、また立ち寄ってみたいです。


江戸時代からある結び方で折詰にしています。
日本で最初のお土産豆腐は笹乃雪の絹ごし豆富です...

「笹乃雪」お豆富の販売サイトに飛びます

入口の横には
入口の横には posted by (C)ルンちゃん
豆富づくりに欠かせないお水が流れています^^

根岸 笹乃雪
東京都台東区根岸2−15−10

※『新板大江戸名物双六』の絵は
  国立国会図書館デジタルコレクションで見られます。
  http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1310566


今日の記事はいかがでしたか?
「今日読んだよ、面白かったよ、役に立ったよ」の印に
応援クリックを頂けますと私の励みになります。

⇒ 歴史ブログ 幕末・明治維新

クリックをたくさん頂いた記事を、
今後の記事アップの参考にして、
もっと楽しい記事を作っていきたいです^^(ルンちゃん)
 
新選組のチョッと話 トップページに戻る
posted by ルンちゃん at 00:01| Comment(0) | ・新板大江戸名物双六 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: