2014年09月08日

紅をつけましょ^^


幕末に発行された「新板大江戸名物双六」の
9コマ目にあるのは本町玉屋べにです。


この「べに」とは、
紅花から抽出し精製した赤い染料のことです。
これを唇につけて口紅にしていたんですね。
染料はお猪口のような瀬戸物の内側に塗られていて、
水を含んだ筆で溶いて、唇につけていたそうですよ。


双六の絵に載っているお猪口の絵が
ちょうどその口紅だったんですね
特に「小町紅」と呼ばれる口紅は
当時の口紅の最高級品だったそうです。


本町玉屋は日本橋本町二丁目にあった紅屋さんで、
その「小町紅」も取り扱っていました。
すごく人気があったお店だそうですよ。
玉屋善太郎という人が営業していて、
もとは京都の紅問屋さんらしいです。


でも開国以降、西洋の口紅が日本に入ってきて、
主流がそちらへと移り、いつしか
お店は廃業してしまったようです。こうして
日本の紅を売るお店は「玉屋」と同じように
次々となくなってしまったのです。


昔ながらの日本の文化が消えてしまうのは
時代とはいいながらも寂しいものがありますね。


「もう全く残っていないのだろうな」と
残念に思いながらも探してみたところ、
なんと、たった1軒ですけど
当時の製法で紅を残していたお店があったのです。
それが伊勢半です。


「玉屋」はもうありませんけど、
現存する唯一の紅屋さんということで、
ここからは「伊勢半」のお話をしていきます。


さて、この伊勢半さん、
現在の名称は「伊勢半本店」です。
「伊勢半」は幾つかの系列(部門というのかな?)に
分かれているみたいですよ。


ドラッグストアや化粧品店でよく見かける
「キスミー」や「ヒロインメイク」
(※ベルばらに登場しそうな姫の絵がついてる)などは、
この「伊勢半グループ」で作られている商品なんですって。
私も、今回調べてみて初めて知ったのですけど、
私達の生活にしっかり根付いている
大企業さんだったんですよね〜。


その「伊勢半」の創業は文政8(1825)年で、
当時は日本橋小舟町にありました。
とても人気のあった紅屋さんだそうです。
現在のご当主は7代目で、紅の製法は
代々口伝で受け継がれてきました。


紅花の赤色の取り出しは、
とても手間のかかる作業だそうです。
紅花は見てわかるようにオレンジ色をしています。
あの色のほとんどは、実は黄色なんですね。
赤の色素は、花弁の中にわずか1%だけしか含まれません。
それを時間をかけて取り出していくのです。


紅や紅を唇にさす様子などは、
時代劇や錦絵では見かけますけど、
実物は見たことがありません。
どんな物なのか、とても興味津々です。
さっそくお店を訪ねてみましたよ。


現在の「伊勢半本店」は
南青山・骨董通りにあります。
東京メトロ銀座線「表参道」駅B1出口を出て
左へ歩き、骨董通りで、また左に曲がります。
それからはひたすら直進。


すると左側に紅色と白でデザインされた
ステキなお店が目に入ってきました。
そちらが「伊勢半本店」なんですね。
駅からお店までは、徒歩で12分くらいでした。

伊勢半本店に行きました
伊勢半本店に行きました posted by (C)ルンちゃん


お店に入って、まず店員さんに
「紅ミュージアム」の見学希望を伝えます。
じつは、お店の奥に「紅ミュージアム」という
紅についての資料室があるんですよね。
そこには、紅の起源から江戸時代の紅屋の様子、
また紅の製造方法などが史料と共に展示されています。


江戸時代の女性の化粧習慣についても
当時の品と共に解説されているので、
漠然としか知らなかった過去の女性の様子が、
よりリアルに感じられて、とても参考になりました。


お隣のサロンでは、
昔の製法のままに抽出・精製した小町紅を、
購入することもできますよ。
有田焼の器に塗られた紅は
赤色じゃなくて光沢のある玉虫色をしています。
とても綺麗ですね。


ちなみに、製造過程のひとつ
「有田焼の器に紅を移す」という作業は、
数人の職人さんだけしかできない、
門外不出の工程だそうです。


作業中は他の社員すら立ち入ることは許されない、
とても大切な工程です。う〜ん、なるほど、
口伝で受け継がれてきただけのことはありますね。


そんな特殊な製法でできあがった紅を
お店でお試しさせていただきましたよ。
これは人生初めての経験です
チョッとワクワク。


最初に筆に水を含ませます。
お店では精製水を使用していましたが
家では水道水でいいそうです。
器の紅は赤色じゃなくて光沢のある玉虫色です。
でもそれが、水のついた筆を当てると
一瞬で赤に変わるのが不思議。


最初に紅をさした感じは、
唇にうっすら色がついただけで、
あまり変わったようにはみえません。
それを二度三度と重ね塗りするうちに、
発色していきます。


江戸時代はそれを何度も繰り返して、
玉虫色(=少し緑系の光沢がある)にまで
重ね塗りする人もいたそうです。
当時の小町紅は高価なものだったので、
重ね塗りをするのはとても贅沢なことでした。

注…小町紅を購入する人は御殿女中や、豪商の女性たち
  花柳界の遊女くらいで、
  買えない人は別なもので代用したらしいです



体調によっても発色の仕方が違うそうです。
などと話をしていくうち、あらら、
なんとなくさっきより赤色が濃くなったような…


紅をひいて、店員さんのお話を聞いたところで、
私も小町紅を購入しました。
今度、大切なお出かけのときにでも
使ってみましょう


初めてのお店訪問は、貴重な体験が出来て
とても楽しいものでしたよ。
お店の方の対応もすごく丁寧で、
お店を出た時にはドアの向こうで
いつまでもお辞儀をされていたのが印象的でした。
とても心豊かになれた1日でした。


私が体験した「小町紅」のお試しは
どなたでもできます。
「紅ミュージアム」も無料なので、
昔からの口紅に興味をお持ちでしたら、
訪ねてみて下さいね

ルンちゃんも購入
ルンちゃんも購入 posted by (C)ルンちゃん
ラッピングもとても可愛いです^^


株式会社 伊勢半本店
東京都港区南青山6−6−20
K‘s南青山ビル
⇒ 伊勢半本店ホームぺージ


※『新板大江戸名物双六』の絵は
  国立国会図書館デジタルコレクションで見られます。
  http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1310566

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posted by ルンちゃん at 00:11| Comment(0) | ・新板大江戸名物双六 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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