2017年03月14日

蟻通勘吾さんが主役


前回ご紹介した小松エメル氏の
もう一冊の新選組作品です。
2014年9月に刊行されているので、
こちらの方が先ですね。


 
夢の燈影 新選組無名録 [ 小松 エメル ]/講談社


この本には6話が収録されていますよ。
どれも「小説現代」で発表された物語です。


信心 (「小言頼み」改題 2014年6月号
夢告げ            2013年5月号
流れ木            2013年9月号
寄越人            2013年12月号
家路             2014年2月号
姿絵             2014年4月号


最初の「信心」という物語は、
井上源三郎が主人公の作品です。


浪士組の一人として、都にのぼった源三郎は、
試衛館メンバーことが心配で、結局彼らと共に
京都に残ることを決心します。


京都では試衛館の仲間はもちろんのこと、
他の隊士達も同様に「良くなって欲しい」
との気持から、彼らに小言をいい続けます。


しかしある時ふと、源三郎は思うのです。
自分はこの場所にいなくても、
いいのではないか…と。


そう感じた源三郎ですが、結局
最期まで新選組にいるのですよね。
ではその理由は、
いったいなんだったのでしょうか?


次の「夢告げ」は蟻通勘吾の話です。
勘吾さんが物語の主役になるというのは
珍しいですよね。というより、蟻通勘吾が
登場すること自体がめずらしい…かな。


物語の勘吾さんは普段、あまり夢を
みない方でしたが、ある時から、
よく夢をみるようになります。


でも夢に現れるのは、恋人でも
亡くなった親でもありません。
登場するのは決まって
従兄の七五三之進でした。


じつは勘吾は、その七五三之進に誘われ
新選組に入隊したのですが、
その4ヵ月後に七五三之進が
行方不明になるのです。


隊士達の間では、彼は長州の間者だったらしい
との噂が立ち、そのため勘吾自身も
他の隊士達から疑われているような
気がしています。


そのせいなのでしょうか。
仕事にもあまりやる気が感じられず、
ますます仲間から、疎まれていくのです。


この物語は後半から面白くなってきますよ。
七五三之進の正体もわかり、
事の真相もわかってきます。


そして土方歳三の真意も明かされ、
予想外の展開で面白かったです^^


「流れ木」は谷周平の話です。
周平が近藤勇の養子になる前の部分から、
養子になった後の新選組での様子など…


そこに、実際にあったといわれている話と、
うまい具合に組み合わせて、
新たな物語となっています。
「周平にも彼なりの苦労があった」という風に
描かれているのでした。


四作目の「寄越人」は酒井兵庫の話。
ここでの寄越人とは、
切腹した隊士の埋葬を依頼し、
滞りなく死者を送るという役目のことです。


酒井兵庫は普段勤める勘定方とは別に、
この寄越人にも任命されたのです。


この任に就いた当初、兵庫は
切り込みに参加するよりありがたいと
思っていましたが、山南敬助の死に立会い、
それが誤りだったと気付くのです。


兵庫にとって山南は、
自分というものを認めてくれて、
勘定方になるきっかけを作ってくれた
人物だったのです。


そうして、兵庫は
あることを決意するのです。


「家路」は山崎丞のお話です。
御陵衛士の監視から始まる、この物語。
山崎には山崎なりの考えがあって、
行動しています。


池田屋での大惨事、敵はもちろん味方にも
大いに犠牲が出た事件。
自分がもっと上手く立ち回っていれば、
もっと良い結果になっていたのでは…


そんな思いに駆られて、
山崎は御陵衛士を監視していたのでした。


山崎の仕事はそれだけではありません。
仲間をつけ回し、探りを入れる彼の姿を
よく思っていない隊士もいます。


「そんなだから駄目なんだ」
と原田左之助に言われ、
原田もそういった人物と同様だと思い、
なんとも云われぬ思いにかられます。


「姿絵」は中島登のお話です。
中島登さんのことはご存知ですよね。
八王子出身で天然理心流の門下生だった彼は、
近藤勇の隊士募集の折に、入隊志願します。


この物語では、近藤勇達が京へ登る際に
本当は一緒に行きたかった中島でしたがが、
千人同心としての立場や、妻子達を抱えている手前
それができず、しかし諦めきれずにいたところ、
近藤勇が隊士募集に江戸にやってきたのを知って
入隊を志願するというわけです。


そして入隊。
しかし京都へは行かずに、近藤の命で
そのまま多摩地域を含む江戸周辺の
情報収集を行うという任に就くことになります。


その後、京都に行きますが
京都で働いた期間は短く、
鳥羽伏見の戦い以降、敗戦につぐ敗戦に
立ち会うことになります。


降伏の後は、
仲間が生きた証を残そうと、
隊士たちの絵を書き残すのです。
そんな彼の姿を見られるのが
この物語です。


今まで、主人公にあまりならなかった
人物が描かれているので、
どんな物語りになっているのか
とても興味がありました。


まだ描いてほしい人物がいるので、
次なる小松エメル氏の本も
読んでみたいと思います

 
夢の燈影 [ 小松エメル ]/講談社

文庫本もありますよ

夢の燈影 新選組無名録 [ 小松 エメル ]
                         
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posted by ルンちゃん at 11:14| Comment(0) | 新選組の本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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