気になる展覧会があったので、
でかけてみましたよ。
時代を描いたやまと絵師
邨田丹陵
前期2024年1月13日〜2月18日
後期 2月24日〜3月31日
邨田丹陵(むらた たんりょう)と聞いて
「あっ、あの人ね」
という人は、なかなかいないのでは
ないでしょうか。
かく云う私も、その人の名前は
存じませんでした。
でも、学校の歴史教科書に載っている
「大政奉還」の絵といえば、
あなたもわかるのではないでしょうか。
あの二条城黒書院を舞台に描かれた
在京の諸藩重臣が慶喜将軍の話を聞いている
という図柄の「大政奉還」の絵です。
そうなんです。
聖コ記念絵画館に所蔵されている
「大政奉還」のあの絵を描かれた方が、
この邨田丹陵なのです。
邨田丹陵は1872(明治5)年から
1940(昭和15)年に活躍された方で、
旧田安藩の徳川藩士、村田直景の子として
東京に生まれました。
父の元で学ぶも、絵画に目覚め
吉沢素山という画家に絵を学びます。
そして後、川辺御楯のもとで土佐派を
学んでいきます。
その後活躍するも、故あって、
表舞台からは退いてしまいますが、
徳川慶喜の孫にあたる慶光氏から依頼を受けて
「大政奉還」の絵を描くことを決意します。
描くにあたっては
資料を多数集めていたそうですが、
依頼を受けた翌年に起きた
関東大震災の火災で、
下谷区(現在の台東区西部)にあった
彼の自宅は焼失してしまいます。
その後、縁あって砂川氏の援助を受け、
北多摩郡砂川村(現在の立川市砂川町)
に住居を移し、そこで再び
資料集めに奔走します。
そうして仕上げた「大政奉還」の絵ですが、
完成は1935(昭和10)年で、
なんと依頼を受けて13年の歳月を経て
出来上がったものだそうです。
それだけの時間をかけて描かれた
というのもすごいことですけど、
そんな方が、私の身近である
立川市に住んでいたということが
私には嬉しい驚きでした。
「大政奉還」の下図となった絵の
展示が今回あり、しかもそれは
前期の1月13日から
2月18日までの展示だと知って
「これは見なくては」と思い立ち
出かけたというわけです。
実際の聖コ記念絵画館のものよりは、
今回展示の物は小さいですが、それぞれの
詳細な部分はしっかり描かれています。
昭和に完成した絵ではありますが、
幕末当時の雰囲気が充分感じられる
幕末好きな私にとっては
好きな絵のひとつです。
しかも今回知ったことなんですけど、
依頼のあった当初は、「大政奉還」の絵に
描かれている10月12日の様子ではなく、
小松帯刀や後藤象二郎らがいた
13日の様子が描かれる予定だった
そうなんですよ。
それが変更されて、
この日になったのだそうです。
それを知った時
「12日の日でよかった」
と思ってしまいましたよ。
さて「大政奉還」のことばかり
書いてしまいましたが、
「時代を描いたやまと絵師」と
タイトルがあるようにいろいろな時代の
絵を邨田丹陵は描いています。
枕草子の作者である清少納言や、
六歌仙の方々。
巴御前の弓張りの絵や
小早川隆景公仮寝図など
興味をそそるもの多数です。
繊細な筆さばきと、
多色ながら派手なイメージではない
融合した美しさに、ずっと見ていたい
と思う絵でした。
邨田丹陵の作品は、
なかなか見る機会はないですから、
家がお近くで興味のある方は
行ってみてくださいね。
邨田丹陵展 posted by (C)ルンちゃん
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