2017年12月18日

沖田総司になった理由

チョッと前に読んだ小説ですが、
タイトルだけだと新選組本とは
わかりませんでしたね。


でも2巻目の表紙を見て、
新選組本だよねってわかりましたよ。


「ただの少年は、
 いかにして沖田総司になったのか」


1巻の帯にある
その言葉が妙に気になって、
購入することにしました

月下におくる(上) (下) 
沖田総司青春録 (講談社文庫) [ 堀川 アサコ ]



この小説は、著者が
20代終わりの頃に書いた長編小説を、
大幅に改稿したものだそうです。


全2巻ですが、
1巻 己を模索する〈少年編〉
2巻 運命を生きる〈青春編〉

に分けられています。


1巻は、総司の9才頃からのお話で、
父が死んだことで、生活に困った母が
宗次郎(総司の幼名)に商家へ奉公に行くか、
剣術道場の内弟子に行くかを迫るところから
始まります。


結局、剣術道場に行くことを決意する
宗次郎ですが、それが
有名で立派な道場ではなく、
近藤勇のいる天然理心流の道場でした。


それでも、藤吉と奈江という
二人の遊び仲間もでき、
おおむね幸せに暮らすことができた
宗次郎でしたが。


宗次郎が12才の時に、大事件が発生します。
美少年の子供たちが次々
変死体で発見されたのです。


また、近くの旗本の家に嫁いだ
娘も同じように殺されました。
その事件により、宗次郎は
藤吉や奈江と別れることに
なるのです。


1巻では、そんな少年時代の話と、
壬生浪士組として京都で過ごす
総司の様子が描かれていますよ。


2巻では、芹沢暗殺の話。
そして、少年時代のイヤな記憶を
再び思い出させるような出来事も、
総司に襲い掛かります。


また、土方歳三に命令されて
自分の苦手とする探索の仕事も
行っていきます。


その仕事の中で関わっていく
佐伯亦三郎と浅野藤太郎という
2人の隊士。


2巻では、その2人と総司との関わりが
大きく描かれます。


また、島原の初雪や、
るゐという少女も
総司に関わる人達です。


この小説は、坂本龍馬暗殺の
チョッと前までで終わっています。


最後の部分は、総司自身の
少年時代を思い起こさせるような、
不思議な感覚に襲われる総司がいます。


前半は総司の少年時代のお話で、
創作部分たっぷりで面白く読めました。
後半は少し物足りなさも感じましたけど、
今までとは違った総司がいて、
それはそれで楽しめたと思います。


チョッと長めではありますが、
文庫本になっていますので、
通勤・通学の合間に読めますよ


どうぞ機会があったら、
読んでみて下さいネ。


月下におくる(上) 沖田総司青春録
(講談社文庫) [ 堀川 アサコ ]



月下におくる(下) 沖田総司青春録
(講談社文庫) [ 堀川 アサコ ]

posted by ルンちゃん at 00:04| Comment(0) | 新選組の本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年06月14日

昔の本を読むのも面白い

本棚を整理していたら
懐かしい本が出てきました。
それは黒鉄ヒロシさんのマンガです。



新選組 / 黒鉄ヒロシ 著 / PHP研究所


昔からの新選組ファンの方なら
ご存じでしょうね。
1996年に刊行された本で、
第43回文藝春秋漫画賞に選ばれた
本でもありますよ。


物語は、新選組の池田屋騒動から
新選組の終焉の函館戦争まで。
それから少し、その後のお話というか
チョッと不思議なお話が入って、
全部で45編の物語です。


ストーリー的には、新選組の
通年史なのですが、そこはそれ、
黒鉄ヒロシ氏の作品なので、
とても特徴ある作品になっていますよ。


例えば、このまんがは登場人物が、
現存する当人たちの写真をもとに
描かれているのです


近藤先生や土方歳三さんは、
あの写真のままですし、
高齢になってからの写真しかない
永倉さんや斎藤さんは、その写真を元に
若い頃を想像して描かれています。


また、沖田総司のように写真がない場合は、
血縁関係のおみつ姉さんの写真を
元に描かれます。


本人の写真はもちろん、
家族の写真もない藤堂平助さんなどは、
顔は描かれずそのまま顔なしです。
他に作者のイメージで書かれている
人物もいますけど…


そんな彼らが、新選組によく描かれる
お話しで登場しています。
それがなんとなく恐ろしいやら、
と思えばおかしいやらの、一風変わった
描かれ方で書かれているので、
とてもインパクトが強いのです。


一度は新選組好きなあなたに
読んでみて欲しいなと思う作品です。
とは言っても、癖のある描かれ方なので、
万民にあうとは思いませんけどね…


それからこのマンガ、実は昔
映画として劇場公開もされたのです。


それがまた、不思議な作風で、
アニメのような動画ではなくて、
紙を切り抜いて人型をつくり、
それを動かして物語にしたものだったのです。


つまり、原作からの切り絵キャラクター人形を
大量に作成し、その絵を操作して少しずつ動かし
撮影していくという作り方の、今なら似たような方法で
いろいろ作られているようですが、それらの
さきがけともいえるような作品でした。


また、アテレコのメンバーも、
近藤勇    − 中村敦夫
土方歳三   − 中井貴一
沖田総司   − 原田龍二
山南敬助   − うじきつよし
芹沢鴨    − 石倉三郎
清河八郎   − 石橋蓮司
伊東甲子太郎 − 石坂浩二
お 孝    − 萬田久子
明 里    − 清水美砂
駒 野    − 岸田今日子
ナレーション − 江守徹
という豪華キャスターでありました。
しかも市川崑監督の作品!


テレビで放送されなかったと思うので、
私も劇場でみた一回限りの記憶なんですけど、
もしできることなら、もう一度見てみたいと
思う作品なんですよね。


という訳で、その映画の原作、
私の持っているのは販売当初の本なのですが、
文庫本では「新選組發見傳」26編も、
書き下ろしで載せているので、もし興味が
おありでしたら、古本店で探してみてくださいね


新選組 / 黒鉄ヒロシ 著 / PHP研究所

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posted by ルンちゃん at 00:40| Comment(0) | 新選組の本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年03月14日

蟻通勘吾さんが主役


前回ご紹介した小松エメル氏の
もう一冊の新選組作品です。
2014年9月に刊行されているので、
こちらの方が先ですね。


 
夢の燈影 新選組無名録 [ 小松 エメル ]/講談社


この本には6話が収録されていますよ。
どれも「小説現代」で発表された物語です。


信心 (「小言頼み」改題 2014年6月号
夢告げ            2013年5月号
流れ木            2013年9月号
寄越人            2013年12月号
家路             2014年2月号
姿絵             2014年4月号


最初の「信心」という物語は、
井上源三郎が主人公の作品です。


浪士組の一人として、都にのぼった源三郎は、
試衛館メンバーことが心配で、結局彼らと共に
京都に残ることを決心します。


京都では試衛館の仲間はもちろんのこと、
他の隊士達も同様に「良くなって欲しい」
との気持から、彼らに小言をいい続けます。


しかしある時ふと、源三郎は思うのです。
自分はこの場所にいなくても、
いいのではないか…と。


そう感じた源三郎ですが、結局
最期まで新選組にいるのですよね。
ではその理由は、
いったいなんだったのでしょうか?


次の「夢告げ」は蟻通勘吾の話です。
勘吾さんが物語の主役になるというのは
珍しいですよね。というより、蟻通勘吾が
登場すること自体がめずらしい…かな。


物語の勘吾さんは普段、あまり夢を
みない方でしたが、ある時から、
よく夢をみるようになります。


でも夢に現れるのは、恋人でも
亡くなった親でもありません。
登場するのは決まって
従兄の七五三之進でした。


じつは勘吾は、その七五三之進に誘われ
新選組に入隊したのですが、
その4ヵ月後に七五三之進が
行方不明になるのです。


隊士達の間では、彼は長州の間者だったらしい
との噂が立ち、そのため勘吾自身も
他の隊士達から疑われているような
気がしています。


そのせいなのでしょうか。
仕事にもあまりやる気が感じられず、
ますます仲間から、疎まれていくのです。


この物語は後半から面白くなってきますよ。
七五三之進の正体もわかり、
事の真相もわかってきます。


そして土方歳三の真意も明かされ、
予想外の展開で面白かったです^^


「流れ木」は谷周平の話です。
周平が近藤勇の養子になる前の部分から、
養子になった後の新選組での様子など…


そこに、実際にあったといわれている話と、
うまい具合に組み合わせて、
新たな物語となっています。
「周平にも彼なりの苦労があった」という風に
描かれているのでした。


四作目の「寄越人」は酒井兵庫の話。
ここでの寄越人とは、
切腹した隊士の埋葬を依頼し、
滞りなく死者を送るという役目のことです。


酒井兵庫は普段勤める勘定方とは別に、
この寄越人にも任命されたのです。


この任に就いた当初、兵庫は
切り込みに参加するよりありがたいと
思っていましたが、山南敬助の死に立会い、
それが誤りだったと気付くのです。


兵庫にとって山南は、
自分というものを認めてくれて、
勘定方になるきっかけを作ってくれた
人物だったのです。


そうして、兵庫は
あることを決意するのです。


「家路」は山崎丞のお話です。
御陵衛士の監視から始まる、この物語。
山崎には山崎なりの考えがあって、
行動しています。


池田屋での大惨事、敵はもちろん味方にも
大いに犠牲が出た事件。
自分がもっと上手く立ち回っていれば、
もっと良い結果になっていたのでは…


そんな思いに駆られて、
山崎は御陵衛士を監視していたのでした。


山崎の仕事はそれだけではありません。
仲間をつけ回し、探りを入れる彼の姿を
よく思っていない隊士もいます。


「そんなだから駄目なんだ」
と原田左之助に言われ、
原田もそういった人物と同様だと思い、
なんとも云われぬ思いにかられます。


「姿絵」は中島登のお話です。
中島登さんのことはご存知ですよね。
八王子出身で天然理心流の門下生だった彼は、
近藤勇の隊士募集の折に、入隊志願します。


この物語では、近藤勇達が京へ登る際に
本当は一緒に行きたかった中島でしたがが、
千人同心としての立場や、妻子達を抱えている手前
それができず、しかし諦めきれずにいたところ、
近藤勇が隊士募集に江戸にやってきたのを知って
入隊を志願するというわけです。


そして入隊。
しかし京都へは行かずに、近藤の命で
そのまま多摩地域を含む江戸周辺の
情報収集を行うという任に就くことになります。


その後、京都に行きますが
京都で働いた期間は短く、
鳥羽伏見の戦い以降、敗戦につぐ敗戦に
立ち会うことになります。


降伏の後は、
仲間が生きた証を残そうと、
隊士たちの絵を書き残すのです。
そんな彼の姿を見られるのが
この物語です。


今まで、主人公にあまりならなかった
人物が描かれているので、
どんな物語りになっているのか
とても興味がありました。


まだ描いてほしい人物がいるので、
次なる小松エメル氏の本も
読んでみたいと思います

 
夢の燈影 [ 小松エメル ]/講談社

文庫本もありますよ

夢の燈影 新選組無名録 [ 小松 エメル ]
                         
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