2017年06月14日

昔の本を読むのも面白い

本棚を整理していたら
懐かしい本が出てきました。
それは黒鉄ヒロシさんのマンガです。



新選組 / 黒鉄ヒロシ 著 / PHP研究所


昔からの新選組ファンの方なら
ご存じでしょうね。
1996年に刊行された本で、
第43回文藝春秋漫画賞に選ばれた
本でもありますよ。


物語は、新選組の池田屋騒動から
新選組の終焉の函館戦争まで。
それから少し、その後のお話というか
チョッと不思議なお話が入って、
全部で45編の物語です。


ストーリー的には、新選組の
通年史なのですが、そこはそれ、
黒鉄ヒロシ氏の作品なので、
とても特徴ある作品になっていますよ。


例えば、このまんがは登場人物が、
現存する当人たちの写真をもとに
描かれているのです


近藤先生や土方歳三さんは、
あの写真のままですし、
高齢になってからの写真しかない
永倉さんや斎藤さんは、その写真を元に
若い頃を想像して描かれています。


また、沖田総司のように写真がない場合は、
血縁関係のおみつ姉さんの写真を
元に描かれます。


本人の写真はもちろん、
家族の写真もない藤堂平助さんなどは、
顔は描かれずそのまま顔なしです。
他に作者のイメージで書かれている
人物もいますけど…


そんな彼らが、新選組によく描かれる
お話しで登場しています。
それがなんとなく恐ろしいやら、
と思えばおかしいやらの、一風変わった
描かれ方で書かれているので、
とてもインパクトが強いのです。


一度は新選組好きなあなたに
読んでみて欲しいなと思う作品です。
とは言っても、癖のある描かれ方なので、
万民にあうとは思いませんけどね…


それからこのマンガ、実は昔
映画として劇場公開もされたのです。


それがまた、不思議な作風で、
アニメのような動画ではなくて、
紙を切り抜いて人型をつくり、
それを動かして物語にしたものだったのです。


つまり、原作からの切り絵キャラクター人形を
大量に作成し、その絵を操作して少しずつ動かし
撮影していくという作り方の、今なら似たような方法で
いろいろ作られているようですが、それらの
さきがけともいえるような作品でした。


また、アテレコのメンバーも、
近藤勇    − 中村敦夫
土方歳三   − 中井貴一
沖田総司   − 原田龍二
山南敬助   − うじきつよし
芹沢鴨    − 石倉三郎
清河八郎   − 石橋蓮司
伊東甲子太郎 − 石坂浩二
お 孝    − 萬田久子
明 里    − 清水美砂
駒 野    − 岸田今日子
ナレーション − 江守徹
という豪華キャスターでありました。
しかも市川崑監督の作品!


テレビで放送されなかったと思うので、
私も劇場でみた一回限りの記憶なんですけど、
もしできることなら、もう一度見てみたいと
思う作品なんですよね。


という訳で、その映画の原作、
私の持っているのは販売当初の本なのですが、
文庫本では「新選組發見傳」26編も、
書き下ろしで載せているので、もし興味が
おありでしたら、古本店で探してみてくださいね


新選組 / 黒鉄ヒロシ 著 / PHP研究所

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2017年03月14日

蟻通勘吾さんが主役


前回ご紹介した小松エメル氏の
もう一冊の新選組作品です。
2014年9月に刊行されているので、
こちらの方が先ですね。


 
夢の燈影 新選組無名録 [ 小松 エメル ]/講談社


この本には6話が収録されていますよ。
どれも「小説現代」で発表された物語です。


信心 (「小言頼み」改題 2014年6月号
夢告げ            2013年5月号
流れ木            2013年9月号
寄越人            2013年12月号
家路             2014年2月号
姿絵             2014年4月号


最初の「信心」という物語は、
井上源三郎が主人公の作品です。


浪士組の一人として、都にのぼった源三郎は、
試衛館メンバーことが心配で、結局彼らと共に
京都に残ることを決心します。


京都では試衛館の仲間はもちろんのこと、
他の隊士達も同様に「良くなって欲しい」
との気持から、彼らに小言をいい続けます。


しかしある時ふと、源三郎は思うのです。
自分はこの場所にいなくても、
いいのではないか…と。


そう感じた源三郎ですが、結局
最期まで新選組にいるのですよね。
ではその理由は、
いったいなんだったのでしょうか?


次の「夢告げ」は蟻通勘吾の話です。
勘吾さんが物語の主役になるというのは
珍しいですよね。というより、蟻通勘吾が
登場すること自体がめずらしい…かな。


物語の勘吾さんは普段、あまり夢を
みない方でしたが、ある時から、
よく夢をみるようになります。


でも夢に現れるのは、恋人でも
亡くなった親でもありません。
登場するのは決まって
従兄の七五三之進でした。


じつは勘吾は、その七五三之進に誘われ
新選組に入隊したのですが、
その4ヵ月後に七五三之進が
行方不明になるのです。


隊士達の間では、彼は長州の間者だったらしい
との噂が立ち、そのため勘吾自身も
他の隊士達から疑われているような
気がしています。


そのせいなのでしょうか。
仕事にもあまりやる気が感じられず、
ますます仲間から、疎まれていくのです。


この物語は後半から面白くなってきますよ。
七五三之進の正体もわかり、
事の真相もわかってきます。


そして土方歳三の真意も明かされ、
予想外の展開で面白かったです^^


「流れ木」は谷周平の話です。
周平が近藤勇の養子になる前の部分から、
養子になった後の新選組での様子など…


そこに、実際にあったといわれている話と、
うまい具合に組み合わせて、
新たな物語となっています。
「周平にも彼なりの苦労があった」という風に
描かれているのでした。


四作目の「寄越人」は酒井兵庫の話。
ここでの寄越人とは、
切腹した隊士の埋葬を依頼し、
滞りなく死者を送るという役目のことです。


酒井兵庫は普段勤める勘定方とは別に、
この寄越人にも任命されたのです。


この任に就いた当初、兵庫は
切り込みに参加するよりありがたいと
思っていましたが、山南敬助の死に立会い、
それが誤りだったと気付くのです。


兵庫にとって山南は、
自分というものを認めてくれて、
勘定方になるきっかけを作ってくれた
人物だったのです。


そうして、兵庫は
あることを決意するのです。


「家路」は山崎丞のお話です。
御陵衛士の監視から始まる、この物語。
山崎には山崎なりの考えがあって、
行動しています。


池田屋での大惨事、敵はもちろん味方にも
大いに犠牲が出た事件。
自分がもっと上手く立ち回っていれば、
もっと良い結果になっていたのでは…


そんな思いに駆られて、
山崎は御陵衛士を監視していたのでした。


山崎の仕事はそれだけではありません。
仲間をつけ回し、探りを入れる彼の姿を
よく思っていない隊士もいます。


「そんなだから駄目なんだ」
と原田左之助に言われ、
原田もそういった人物と同様だと思い、
なんとも云われぬ思いにかられます。


「姿絵」は中島登のお話です。
中島登さんのことはご存知ですよね。
八王子出身で天然理心流の門下生だった彼は、
近藤勇の隊士募集の折に、入隊志願します。


この物語では、近藤勇達が京へ登る際に
本当は一緒に行きたかった中島でしたがが、
千人同心としての立場や、妻子達を抱えている手前
それができず、しかし諦めきれずにいたところ、
近藤勇が隊士募集に江戸にやってきたのを知って
入隊を志願するというわけです。


そして入隊。
しかし京都へは行かずに、近藤の命で
そのまま多摩地域を含む江戸周辺の
情報収集を行うという任に就くことになります。


その後、京都に行きますが
京都で働いた期間は短く、
鳥羽伏見の戦い以降、敗戦につぐ敗戦に
立ち会うことになります。


降伏の後は、
仲間が生きた証を残そうと、
隊士たちの絵を書き残すのです。
そんな彼の姿を見られるのが
この物語です。


今まで、主人公にあまりならなかった
人物が描かれているので、
どんな物語りになっているのか
とても興味がありました。


まだ描いてほしい人物がいるので、
次なる小松エメル氏の本も
読んでみたいと思います

 
夢の燈影 [ 小松エメル ]/講談社

文庫本もありますよ

夢の燈影 新選組無名録 [ 小松 エメル ]
                         
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2017年02月12日

鬼がいっぱい

最近、書店で見かけた本です。
タイトルに惹かれて読んでみました


総司の夢 [ 小松 エメル ]
講談社


2016年9月に出版された書下ろし作品です。
著者の小松エメル氏には、他にも
「夢の燈影(ほかげ) 新選組無名録」
という新選組を題材にした
作品がありますよ。


さてこちら「総司の夢」というお話は、
武州の試衛館時代の頃から始まります。
近藤勇の講武所の件がご破算になった頃に、
伊庭八郎が浪士組の話を持ってきます。


そして試衛館連中は、皆と協議の末
京都へと旅立つのです。
まあ、この辺りはよく見かける
新選組のお話なんですけどね。


このお話には、鬼が3人
(4人というべきか)登場します。
1人はよく「鬼」と言われる
あの人ですけどね


もう1人(とあと一人)も、
まあありかなとは思います。


でも最後のあの人は
意外な感じで、ですから反対に
その辺りの話の持っていきかたが
面白かったです


ただ、いろいろな場面で
鬼が登場するので、
それが誰を指しているのかが、
わかり難いところがあって、
チョッと読むのに苦労しました。


その辺りは、もう少し
わかりやすく描いて
欲しかったと思ったところです。


この本の主人公はもちろん沖田総司です。
この総司は、自身が「最強の剣士」
になることを願ってやみません。
ですから総司が最強と思う
芹沢鴨との対決には、人一倍
固執しています。


なにしろ、芹沢がいなくなった後でも、
忘れられずにいるのですから。


そして鴨と似ていると、
総司が勝手に思っている
大石鍬次郎にも執拗に
勝負を挑みます。


そんな総司に関わってくるのが、
石井亥之助(いのすけ)という少年です。
芹沢鴨を仇と狙っている彼ですが、
自分の腕では彼に太刀打ちできないことを
充分承知しています。


そしてもう一人、
総司と関わってくるのが
志乃という女医なんです。


「沖田総司と医師の娘」
「総司と女医」の設定は
よくあるパターンなのですが、
こちらはもう少し複雑な設定なので、
その辺りも面白い部分ではあります。


後半よりこの2人の正体がわかり、
話が面白くなっていくのです。


ちなみにこの本のタイトルである
「沖田総司の夢」ですが、
どこが夢なのかな〜と思い
読んでいたところ、
「夢や希望」の方ではなく、
寝る時に見る夢の方みたいです。


総司は、それまでは寝ても全く
夢を見なかったのだそうです。
しかし京に来て、いろいろな人と接し、
いろいろなことを思うようになって
夢を見るようになったのだとか。


最後に見た総司の夢は
どんなだったのでしょう?
その辺りも最後まで読んでみると
わかるので、機会があったら、
読んでみて下さいネ


総司の夢 [ 小松 エメル ]

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