2015年06月18日

市村じゃない小姓の物語


土方歳三の小姓といえば
市村鉄之助を思い浮かべるでしょうけど、
市村じゃない小姓の物語を見つけましたよ。


土方歳三の小姓 [ 土方洋 ]
〜降りながら消ゆる雪あり 上巳こそ〜
文芸社


2014年12月15日刊行の
比較的新しい本です。この本はタイトルのように
「土方歳三の小姓」が主人公なんですよね。
でも鉄之助のお話ではありません。


この本の主人公は「玉置良蔵」です。
といっても「玉置良蔵」っていわれて、
「ああ、あの人ね」って
思い浮かばないかもしれませんね。


玉置良蔵(良三とも)は、
慶応3年6月以降に入隊した人物です。
慶応4年の鳥羽伏見の戦いを経て江戸へ、
そして東北から箱館まで、土方ら新選組と共に
行動した少年なんですね。


箱館にいた頃は彼は15歳でした。
でも、同じ小姓だった市村鉄之助とは
違う道を進むのです。


ちなみに、彼については過去記事が詳しいです。
よかったらどうぞ
過去記事 ⇒ 玉置良三という人


さて、玉置良蔵が主人公の本は、
私が知る限りではこの1冊くらいです。
ですから、読む前から「どんな話かな?」
と興味津々でしたよ。


小説での彼は、流山の出身になっています。
目次を見るとこんな感じです。

第一章 五兵衛新田の諍い
第二章 決別、流山
第三章 江戸潜入
第四章 無念の負傷
第五章 天寧寺の湯
第六章 再開
第七章 船出
第八章 蝦夷地に散る
後 記


読み始めの部分を少し紹介すると…


子供の頃から病弱だった彼は、
よくできた長男といつも比較されていました。
体調がすぐれず剣術稽古もせず、
昼間からゴロゴロしている彼を、
父はよく思っていません。


彼の体調がすぐれないのには理由がありました。
実は労咳(肺結核)を患っていたのです。
彼の病を知った時、両親は世間体を気にして、
良蔵を遠縁の家に預けようとします。


でも良蔵自身は、
このまま何もせず朽ちることを望まず、
家を飛び出します。
行く当てもなく途方に暮れた彼は、
幸いにも江戸で新選組の隊士募集を知り、結果
隊士の一員に加わることができたのです。


他の新入隊士と共に京へ上るとすぐ、
鳥羽伏見の戦いになり、その後
転戦につぐ転戦を良蔵も体験します。


「病人なのに大丈夫かな?」と思うくらい
小説では過酷な状況なので、
本当にこんな行動ができたのかなどと
疑問に思う部分もありますね。
でも小説だからこれもありかな(?)


私の中では玉置良蔵さんは、
少年ながらも芯の強い人で、
病を持ちながらも他の隊士と同じように
「戦い続ける人」というイメージです。


でもこの小説の良蔵は等身大の少年で、
出来の良い兄を疎ましく感じたり、
健康体で元気な鉄之助を妬んだり、
その他、自己中心的な部分をかなり持っている
少年なんですよね。


そんな彼が、最初は怖いと恐れていた土方と
行動を共にするうちに、土方に惹かれ、
他の隊士たちの友情に触れ、
いつしか自身も新選組隊士として自覚していく。


そんな彼の成長を感じることができる
物語となっています。


何かを成し遂げたい。


そう思って家を飛び出した良蔵ですが、
何かを成し遂げることができたのでしょうか?


捉え方は人それぞれですけど、私はある意味
成し遂げられたのではないか
と思います。


玉置良蔵さんが主人公の本。
よかったら読んでみて下さいね


土方歳三の小姓 [ 土方洋 ]

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2015年02月25日

歳三を撃ったのは誰だ

チョッと見慣れた絵が表紙だったので
手に取ってパラパラとめくり、
そして読んでみることにした本があります。
それがこちらなんですね。


戦塵 北に果つ
〜土方歳三戊辰戦始末〜
甲斐原 康 著



表紙は小島資料館蔵の
「箱館大戦争之図」でした。
血刀を振るっているのが土方さんですね。


表紙がこんな風だったし、副題が
「土方歳三戊辰戦始末」だったので、
てっきり主人公は土方さんだと思っていたのです。
でも違っていました^^;


主人公は、江戸に住む火消しの佐吉。
架空の人物です。


この佐吉が、敵対する別の火消し組と
けんかをしようとしている時に、
登場するのが大鳥圭介なんですよ。


その事件以降、佐吉と大鳥圭介は
親しくつきあうようになって、
物語が動き出すのでした。


目次
序 章  戦鬼
第一章 江戸、脱走軍
第二章 宇都宮攻防
第三章 会津
第四章 仙台
第五章 蝦夷
第六章 戦塵果つ
第七章 東京



副題と、この目次を見てみると、
やはり土方を連想しますよね。でも
考えてみればこれは、旧幕府軍率いる
大鳥圭介の足跡でもあるわけですよね^^;


佐吉は結局、
大鳥圭介と出会ったことから
彼の率いる伝習隊に入り、
旧幕府軍の一員として北に向かうのです。
それが縁で土方とも
知り合いになるわけです。


序章部分では、なぜか
京都時代の土方らが登場します。
そこには山南敬助や沖田総司の姿さへ
見ることができますよ。


彼らの登場はこの序章だけですが、
なぜこの部分が物語に必要なのか、
最初はわかりません。序章以外は、
戊辰戦争以後の話なので、最初に読むと
この部分だけ浮いた感じにも思えるのです。


でも、実はここに伏線がはられていて、
重要なシーンにつながっていくんですよね。
(これ以上は書きませんけど)


戦場で戦う土方は、
妥協せず徹底的に戦います。
土方を知る仲間達は、そんな彼を信頼し
一緒に戦い続けます。土方の生きざまに
佐吉も心を動かします。


ここでの土方は、
けっこう気さくな人なんですよね。
佐吉にも「やあ」なんて軽く手をあげて
答えていますから。


大鳥圭介とも対立することなく、
戦場で共に戦っています。


全体的には、
よくある新選組物語なんですが、
気を惹く部分があります。それは、
「土方歳三を撃ったのは誰か」
というところですよ。


話の流れの中で、その人物が誰なのか
大体の想像はつくのですが、
最後の最後で意外な展開があり、
その部分は面白いな〜と思いました。


著者は甲斐原 康氏という方で、
この物語で2009年に
第15回歴史群像大賞優秀賞を取ったそうです。


翌年刊行されましたが、今はもう書店では
みつけられないかもしれません。
古本屋で見かけることがあったら、
手にとってご覧になってみて下さいね。



こんな表紙です。
古書店で探してみて下さいね。


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2015年02月04日

読んでホッとした体験


昨年の暮れからお正月にかけて、
ルンちゃんはインフルエンザに
罹っていました


それでお医者様から、数日間の
外出禁止令が出ていたのですが、
「これは時間が取れるいい機会じゃないか」
と思いなおして、前から読みたいと思っていた
長編小説を読んでみることにしたのです。
それがこちらの本でした。


歳三往きてまた [ 秋山香乃 ]/文芸社


秋山香乃氏といえば、
「藤堂平助が大好きな作家さん」
というイメージですよね。どの小説でも
平助が登場する場面は、繊細な表現で
描かれていますから。


でも、以前にもお伝えしたように、
井上源三郎が主人公の小説などもあるのです。
そしてこちらの小説では、
土方歳三が主人公なんですよね。しかも、
この本が秋山氏のデビュー作のようです。


目次はこんな感じですよ。
第一章   落日
第二章   錦旗たなびく
第三章   崩壊
第四章   流山
第五章   嵐
第六章   弔い
第七章   乱
第八章   炎
第九章   五稜郭
第十章   闇
第十一章 決戦


新選組の「油小路の変」から、
戊辰戦争の終焉である
「箱館戦争」までが描かれています。
7ページから551ページまでという、
かなり長いお話ですよ。


このところ私は、
あまり名前の聞かない作家さんの描く
新選組本(主に小説)ばかり読んでいました。
それぞれの新選組は異なっていて、
いろいろな視点から新選組を見つめていて
楽しくもあったんですよね。


でもね、どこか違和感もあったのですよ。
なんといいましょうか。


永年「新選組好き」をやっていると
自分の中にイメージする彼らが出来上がっていて、
小説の中で「こう動いて欲しい」という気持が
無意識に働くみたいなんですよね。


そうすると小説によっては彼らが、
予想に反して動いているので、前述のように、
違和感が生じるみたいなんですよ^^;
心の中に、なんとなくモヤモヤ感があって、
すっきりしない…


そんな本ばかり、1冊・2冊・3冊…
と読み続けていたのです。


ところが、
この秋山香乃先生の小説を読んでいたら、
ホッとしている自分に気づいたんですよ。
これは今まで感じたことがなかった感覚でした。
きっとかなり違和感のある小説ばかり
読んでいたのでしょうね^^;


秋山先生の小説は、
私(のイメージ)に合っているみたいです。
女性独自の視点で描く新選組なので、主人公や
登場人物たちの心情が、繊細に描かれていますよ。
そんなところが良いのかな


さて、お話に戻りましょう。
この小説で土方さん以外に
よく登場する人物は新選組隊士です。
といいたいところですが、それより目立つのが
じつは大鳥圭介なんですよね


大鳥圭介というと、土方と敵対する人物として
描かれることも多いのですが、
この小説での大鳥は、土方と理解しあっていて、
土方の方でも彼を一目置いている様子です。


そんな場面がいつくも登場しますが、
敵対するより、こう描く方がいい感じがしますね。
特に最後の別れの場面などは、その情景が
はっきり目に浮かんでくるようで、
とても印象深いです。


他にも、相馬主計が近藤の死に直面したことで、
自らを変化させていくところや、
相馬と野村利三郎との友情シーンなども、
今までに読んだ新選組本にはなかった展開で、
興味深かったですよ。


こんな風に「歳三 往きてまた」には、
要所要所に読み応えのある場面が
散りばめられていました。インフルエンザで
しばらくどこにも行かれなかった私には
良い時間が過ごせたみたいです


長編小説なので、読むのに
ためらうところもあると思います。
でも魅力的な登場人物達に会えますので、
もしあなたがインフルエンザに罹って
どこにも行けなかったら(笑)、
「歳三 往きてまた」の秋山香乃ワールドに
飛び込んでみて下さいね。


歳三往きてまた [ 秋山香乃 ]

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